子どもが学校から持ち帰った鍵盤ハーモニカのホースが、なんとなく臭い。中をのぞくと白いくもりや黒い点が見える。ハーモニカのホースの洗い方は、本体から外して食器用洗剤と水道水で洗い、振って水を出し、日陰にまっすぐ吊るす、これだけです。難しいのは洗い方より、翌朝までに乾かす段取りと、本体を濡らさないことのほうです。ヤマハと鈴木楽器の案内をもとに、洗う頻度、乾かし方、カビが出たときの線引きまで書きました。
ホースは外して、食器用洗剤と水道水で洗う
ホース(ヤマハでは卓奏用パイプ、スズキでは卓奏唄口)は、本体から抜いて単体で洗います。食器用の中性洗剤を溶かした水に30分ほど浸け、水道水で中まで流してすすぐのが基本です。ヤマハもスズキも、パイプと吹き口は中性洗剤で洗って水道水で流してよい、と案内しています。
手順は5つです。
- 本体からホースを抜く。差し込み口を持ってまっすぐ引きます。ねじりながら抜くと差し込み口がゆるみます。
- 口を付ける部分をスポンジで洗う。洗剤を少し付けて、口が当たる面と内側のふちをこすります。
- 洗剤を溶かした水にホースごと30分浸ける。洗面器に水を張り、洗剤を数滴入れて、ホースの中まで水が入るように沈めます。
- 水道水を片方から通してすすぐ。蛇口に口を近づけて水を通し、反対側から出てくる水がにごらなくなるまで続けます。
- 両端を手でふさいで10回ほど振り、もう1回すすぐ。洗剤が残るとにおいの元になるので、すすぎは多めにします。
お風呂のシャワーで中に水を通す方法も、ブログでよく紹介されています。水圧で汚れが流れやすいので、洗面器で洗って落ちなかったときに試してください。ただし、ホースを振り回すと周りの物に当たるので、浴室の中で振ります。
唄口は使うたび、ホースは2週間に1回が最低ライン
洗う頻度は、口に直接触れる部分と、そうでない部分で分けます。立奏用の短い唄口は使った日に洗い、ホースは2週間に1回は家に持ち帰って水洗いするのが目安です。ヤマハは「最低2週間に1度だけでも家に持ち帰って水洗いを」と案内しています。
学校に置きっぱなしにする期間が長いほど、ホースの中に息の水分が残ってカビが出ます。金曜に持ち帰って土曜に洗い、日曜に乾かして月曜に持たせる、この流れにすると忘れません。
洗わない日にも、できることがあります。吹き終わったらホースを本体から抜いて、両端を下にして振り、中の水を出しておくだけで、においの出方がかなり変わります。島村楽器の案内では、演奏前に歯みがきをしておくことも勧められています。
| 部分 | 水洗い | 頻度と方法 |
|---|---|---|
| ホース(卓奏用パイプ) | できる | 2週間に1回以上。洗剤水に30分浸けて水道水ですすぐ |
| 立奏用の唄口 | できる | 使った日ごと。スポンジと洗剤で洗って流す |
| 本体(鍵盤側) | できない | 水抜きボタンで水を出し、固く絞った布で拭く |
| ケース | できない | 布で拭き、家ではふたを開けて湿気を抜く |
本体は洗わず、水抜きボタンで水を出す
鍵盤の付いた本体は、ヤマハもスズキも水洗い禁止です。中に金属のリードが並んでいて、水がかかるとさびて音が出なくなります。本体の手入れは、水抜きボタンを押しながら息を強く吹き込んで中の水を出し、固く絞った布で拭いて乾拭きするところまでです。
鈴木楽器の案内にある水抜きの手順は、次のとおりです。
- ひざの上にハンカチを置き、本体を逆さにして軽くたたく。吹き口の穴から水が出ます。
- 水の出口の下にハンカチを置いて、水抜きボタンを押す。ボタンは差し込み口の反対側にあります。
- 鍵盤を押さえずに、唄口から息を強く吹き込む。出口から水が抜けます。
ボタンを押しながら鍵盤を押すと、音が鳴るだけで水は抜けません。鍵盤から指を離してから吹くのがコツです。長く吹いた日ほど水がたまるので、発表会や授業の後は必ずやってください。
鍵盤の表面の汚れは、水で湿らせて固く絞った布で拭き、そのあと乾いた布で拭きます。すき間の汚れは綿棒で取ります。シンナーやベンジン、除光液、アルコールは、樹脂を傷めるのでメーカーが使用を禁じています。
乾かすときは振ってから、日陰にまっすぐ吊るす
洗ったホースは、中の水を出してから乾かします。両端を持って振って水を飛ばし、洗濯ばさみで片方をはさんで、日の当たらない風通しのよい場所にまっすぐ吊るすと、中の水が下から抜けて乾きます。寝かせて置くと、たわんだ部分に水が残ります。
直射日光と暖房の前は避けてください。ホースも唄口も樹脂なので、熱で変色したり曲がったまま戻らなくなったりします。ドライヤーを使うなら冷風だけにします。温風は変形の原因になるので、急いでいても使いません。
翌朝までに乾かしたい日の段取りは、次のとおりです。夕方までに洗って振り、夜のうちに吊るしておきます。朝になっても中に水滴が見えるときは、ティッシュをこよりにして両端から差し込み、水を吸わせます。それでも湿っていれば、その日は立奏用の唄口を持たせて、ホースは家でもう1日乾かします。
乾いたかどうかは、ホースを振って水滴が飛ばないか、窓の明かりに透かして中がくもっていないか、この2つで見ます。少しでも湿っていたら、ケースに入れずにもう少し吊るします。湿ったままケースを閉めると、その中でカビが出ます。
カビは薄めた漂白剤で1回試し、取れなければ替える
洗剤で洗ってもにおいが残る、中に黒い点が見える、というときはカビです。台所用の塩素系漂白剤を薄めた水に30分浸けてよくすすぐ方法を1回試し、それでも取れなければホースを買い替えるのが線引きです。ヤマハも、においが取れない場合は新しいパイプに取り替えることを勧めています。
漂白剤を使うときは、製品に書かれた薄め方を守り、浸けたあとは水道水で3回以上すすぎます。すすぎが足りないと、漂白剤のにおいが残って、子どもが吹くのを嫌がります。色の付いたホースは色が抜けることがあるので、目立たない部分で試してから全体を浸けます。
この方法はブログでよく紹介されているもので、メーカーの案内には漂白剤についての記載がありません。ホースは口に直接触れる物なので、黒い点が取れないものを使い続けるより、替えのホースを買うほうが早くて確実です。替えのホースはメーカー純正の物が楽器店や通販で手に入ります。
買い替えるときは、同じメーカーの、同じ機種名に合う型番を選びます。鈴木楽器は、他メーカーの唄口は差し込み口の形とサイズが違うので取り付けできない、と案内しています。ヤマハのピアニカにスズキのホース、その逆も付きません。
メーカーが禁止していることは、お湯、分解、薬品の3つ
洗い方そのものより、やってはいけないことを知っておくほうが、ホースは長持ちします。お湯で洗わない、ホースを分解しない、シンナーやアルコールで拭かない、この3つがヤマハと鈴木楽器の案内に共通する禁止事項です。
お湯は樹脂の変形の原因です。「ぬるま湯なら」と思いがちですが、鈴木楽器は唄口にお湯を使わないよう明記しています。分解については、ヤマハが「卓奏用パイプは分解しないでください。息漏れの原因になります」と案内しています。吹き口とホースがねじで外れる構造でも、洗うために分けるのは避けてください。
薬品は、シンナー、ベンジン、除光液、アルコールが対象です。除菌のつもりでアルコールスプレーを本体にかけると、樹脂が白くなったり割れたりします。唄口の除菌をしたいときは、洗剤で洗ってしっかり乾かすことが、メーカーが勧めている方法です。
そのほか、島村楽器の案内では、ホースを振り回さない、吹き口を噛まない、日差しの強い場所やストーブの前に置かない、と書かれています。噛む癖のある子は唄口が早く傷むので、その場合は唄口だけを1年に1回ほど替えると割り切ってください。
まずやることは、ホースを洗う、吊るす、本体の水を抜くの3つ
鍵盤ハーモニカのホースの洗い方は、外す、洗剤水に浸ける、水道水ですすぐ、振る、吊るす、の順で、手を動かす時間は10分ほどです。ホースは洗剤と水道水で洗って日陰に吊るし、本体は水抜きボタンで水を出して布で拭く、この分け方さえ守れば、においもカビもほとんど防げます。
まず、今のホースを窓の明かりに透かして、中に黒い点が無いか見てください。無ければそのまま洗って吊るし、あれば漂白剤を1回試して、取れなければ替えのホースを注文します。本体は、水抜きボタンを押しながら息を吹き込んで、たまった水を出しておきます。
次の持ち帰りからは、金曜に持ち帰って土曜に洗う、と曜日を決めてください。2週間に1回の水洗いを続ければ、ホースは学年が変わるまで使えます。子どもが自分でホースを抜いて振るところまで覚えれば、においの出方はさらに減ります。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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