エレキギターを買ってアンプにつないだのに、好きな曲のあの音にならない。足りないのはたいてい弾き方ではなく、間に入れる機械です。エフェクターとは、ギターとアンプの間につないで音を変える機械のことで、歪ませる、響きを足す、揺らす、音量をそろえる、この4つの役目に分かれます。仕組み、種類、1台目の決め方、つなぐ順番、電源で失敗しやすいところまで、買う前に知っておきたいことを順に書きました。
エフェクターはギターとアンプの間で電気の信号を変える機械
エレキギターの弦の振動は、ピックアップで電気の信号に変わり、シールド(ケーブル)を通ってアンプに届きます。エフェクターは、その信号がアンプに届く前に手を加えて、音を歪ませたり響きを足したりする機械です。英語のeffect(効果)が語源で、ペダルと呼ぶこともあります。
つなぎ方は、ギターからのシールドをエフェクターのINPUTに差し、OUTPUTから別のシールドでアンプに差すだけです。足で踏むスイッチでオンとオフを切り替え、オフのときは元の音がそのまま通ります。1曲の中でサビだけ歪ませる、間奏だけ響かせる、といった使い方ができます。
エフェクターが無くても、ギターは鳴ります。アンプにも歪みやリバーブのつまみが付いているものが多く、家で練習する分にはそれで足りることもあります。それでも買う人が多いのは、アンプのつまみだけでは出せない音があり、足で切り替えられるからです。
種類は4つ、歪み・響き・揺れ・音量をそろえる
エフェクターは細かく分けると10種類以上ありますが、歪み系、空間系、モジュレーション系、ダイナミクス系の4つで覚えれば、店の棚はほぼ読めます。初めての人が関わるのは、このうち歪み系と空間系です。
| 種類 | 音がどう変わるか | 代表的な名前 |
|---|---|---|
| 歪み系 | 音がざらつき、太くなる。ロックの音 | オーバードライブ、ディストーション、ファズ |
| 空間系 | 音が遅れて重なる、残響が付く | ディレイ、リバーブ |
| モジュレーション系 | 音が揺れる、うねる、厚くなる | コーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロ |
| ダイナミクス系・フィルター系 | 音量をそろえる、特定の音域を上げ下げする | コンプレッサー、イコライザー、ワウ |
歪み系の3つは、歪みの深さで分かれます。オーバードライブは浅くて温かい歪みで、ブルースやポップスで使います。ディストーションはもっと強い歪みで、ハードロックやメタルの音です。ファズは一番荒く、1960〜70年代のロックの音になります。
空間系の2つは、ディレイが「音を一定の時間遅らせて重ねる」もの、リバーブが「広い部屋で鳴らしたような残響を足す」ものです。どちらもアンプに付いていることがあるので、買う前にアンプのつまみを見てください。
モジュレーション系は、音を揺らして厚みや動きを付けます。クリーントーンのアルペジオにコーラスを掛けると、1本で弾いているのに2本重ねたように聞こえます。ダイナミクス系のコンプレッサーは、強く弾いた音と弱く弾いた音の音量差を小さくして、バンドの中で音が埋もれないようにします。
1台目は歪み系、コピーしたい曲の音で決める
初めての1台をどれにするか迷ったら、コピーしたい曲で一番長く鳴っている音を出せる歪み系を1台にしてください。価格.comマガジンも島村楽器のギタセレも、最初は歪み系からと案内しています。ロックの曲なら、音の大半は歪みで作られているからです。
歪み系の中でどれを選ぶかは、曲のジャンルで決まります。ブルースやJ-POPのバッキングならオーバードライブ、ハードロックやメタルならディストーション、60〜70年代の音ならファズです。迷ったら、浅い歪みから深い歪みまでつまみで動かせるオーバードライブが使いやすいです。
歪み系を1台目にする理由は、もう1つあります。家で練習するとき、アンプの音量を上げずにロックの音が出せることです。アンプで歪ませるには音量を上げる必要がありますが、エフェクターで歪ませれば小さい音のまま同じ音色になります。
2台目は、曲に出てくる回数で決めます。ギターソロで音が伸びて響くならディレイ、クリーントーンのアルペジオが多いならコーラス、という順です。出てくる回数が少ないエフェクターは、後回しで困りません。
コンパクトは1台1効果、マルチは1台で全部試せる
エフェクターの形は2つあります。コンパクトエフェクターは1台に1つの効果、マルチエフェクターは1台に数十から数百の効果が入っていて、切り替えて使えます。どちらが向くかは、何を買えばいいか分かっているかどうかで決まります。
コンパクトは、つまみが3〜4個で、説明書を読まなくても音が作れます。歪みならBOSS、MXR、Ibanezといったメーカーが定番です。欲しい音が決まっている人、1台ずつ音を覚えたい人に向きます。台数が増えるとシールドと電源が増えるのが弱点です。
マルチは、歪みも空間系も揺れも1台に入っていて、アンプの音を真似る機能や、チューナー、リズムマシンが付いたものもあります。何が欲しいか分からない人は、マルチで全部の音を試してから、気に入った種類をコンパクトで買い足す順が無駄がありません。画面と設定の階層が深いので、慣れるまで時間がかかります。
音の面では、コンパクトは狙った1つの効果の音がよく、マルチは種類の多さで勝ります。初心者向けの小さいマルチは、コンパクト1台と同じくらいの値段で買えるものもあるので、予算で決めるより「1つの音を深く知りたいか、たくさん試したいか」で決めてください。
つなぐ順番は、歪みの後に揺れ、最後に残響
エフェクターを2台以上つなぐときは、順番で音が変わります。ギターに近いほうから、チューナー、コンプレッサー、ワウ、歪み系、モジュレーション系、ディレイ、リバーブの順が基本です。BOSSの公式記事も、この並びを基本として案内しています。
この順番の理由は2つです。チューナーやピッチを変えるものは、歪んでいない元の信号のほうが正しく反応するので、先頭に置きます。ディレイやリバーブは、歪みの後に置くと、遅れた音や残響もきれいにそろいます。逆に歪みの前に置くと、響きまで歪んで濁ります。
1台目に歪み系、2台目にディレイを買った場合は、ギター、歪み、ディレイ、アンプの順にします。歪み系を2台持つなら、浅い歪みを先に、深い歪みを後に並べます。ファズだけは例外で、古い回路のものはギターの直後に置く決まりがあります。
BOSSの記事では、モジュレーション系の位置とイコライザーの位置には意見が分かれる、と書かれています。基本の順で組んだあと、入れ替えて弾き比べ、気に入った順にしてかまいません。決まりは出発点で、最後は自分の耳で決めます。
電源でつまずくのは、アダプターの極性、電池、消費電流の3つ
エフェクターは電気で動くので、買った日に音が出ない原因の大半は電源です。9Vのセンターマイナスのアダプターを使う、電池で使うならINPUTのシールドを抜いておく、消費電流の合計をアダプターの容量に収める、この3つを守れば、ほぼつまずきません。
コンパクトエフェクターの多くは9Vで動き、アダプターのプラグは「センターマイナス」という極性です。見た目が同じでもセンタープラスのアダプターがあり、差すと音が出ないか、壊れることがあります。エフェクターのメーカーが指定するアダプターを買うのが確実です。
電池で動かすときは、INPUTにシールドが差さっている間ずっと電気を使います。練習が終わったらINPUT側のシールドを抜いておかないと、次に使うときに電池が切れています。歪み系は消費電流が少なく電池でも長く使えますが、デジタルのディレイやマルチは電流が多く、電池だと数時間で切れます。
2台以上をアダプター1つで動かすときは、分岐ケーブルかパワーサプライを使います。このとき、各エフェクターの消費電流(mA)を足した数が、アダプターの容量を超えないようにします。目安として、容量の4分の3以内に収めると、電源が足りずにノイズが出ることを防げます。
アンプだけで出ない音が分かってから1台目を買う
エフェクターとは、ギターとアンプの間で音を変える機械で、種類は歪み、響き、揺れ、音量の4つに整理できます。1台目は歪み系、2台目は曲に出る回数で決め、歪みの後に揺れ、最後に残響の順でつなぐ、これだけ分かれば、店で棚を見ても迷いません。
買う前に、いま持っているアンプのつまみをすべて回してみてください。GAINやDRIVEで歪み、REVERBで残響が出るなら、そこで足りる音があります。それでも出ない音、足で切り替えたい音が見つかったとき、その種類のエフェクターを1台だけ買います。
コンパクトなら歪み系を1台、何を買えばいいか分からないなら小さいマルチを1台。どちらでも、アダプターは指定のものを一緒に買い、家に帰ったらギター、エフェクター、アンプの順につないで、スイッチを踏むところまでやってみてください。音が変わった瞬間に、次に欲しい種類が分かります。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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