ケーブルのシールド線とは 巻き方3種類と接地の決まり

shield cable 楽器・音響機器
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アンプからジーというノイズが消えない。

ケーブルを替えようとして「シールド線」という言葉が出てきたものの、何が違うのか分からない人は多いです。

シールド線は、ノイズを防ぐための金属の層が入ったケーブルのことです。

巻き方の種類、接地のしかた、楽器用とスピーカー用の違いを知っておくと、ケーブル選びで迷わなくなります。

シールド線は芯線を金属の網や箔で包んだ電線

オヤイデ電気 G-SPOT CABLE SS/3.0

シールド線は、電気を通す芯線のまわりを金属の網や箔でぐるりと包んだケーブルです。

この金属の層がシールドで、外から飛んでくる電気のノイズを受け止めて、芯線に届かないようにします。

ノイズも電気の一種なので、電気の流れやすい金属の層を通ってアース側へ逃げていきます。

中の構造は、外側から次の4層になっています。

  1. シース(いちばん外側のゴムやビニールの被覆)
  2. シールド(金属の網や箔)
  3. 絶縁体(芯線とシールドが触れないようにする層)
  4. 芯線(信号が通る銅線)

ギターやベースをアンプにつなぐケーブルを「シールド」と呼ぶのは、この構造のケーブルだからです。

正式には楽器用ケーブル、ギターケーブルなどと呼ばれますが、楽器店では「シールド」で通じます。

型番でシールドの有無が分かる電線もあります。オヤイデ電気のブログでは、シールド無しのVVCとシールド有りのVSVCのように、型番に「S」が入るとシールド付きになる例が紹介されています。

【タイプ別】シールドの巻き方は3種類

シールドの作り方は、大きく分けて編組、横巻き、アルミ箔の3種類です。

踏まれる場所なら編組、自分でハンダ付けするなら横巻き、細かいノイズまで防ぎたいならアルミ箔が向いています。

種類 作り よいところ 向いている使い方
編組 細い銅線を網のように編む 曲げや踏みつけ、擦れに強い ライブやスタジオで床を這わせる
横巻き 細い銅線を横向きに巻きつける 柔らかくほぐしやすい 自作や修理でハンダ付けする
アルミ箔 アルミの箔を巻きつける すき間ができにくい 同軸ケーブルや計装用の配線

編組シールドは踏まれても傷みにくい

編組は、細い銅線を網目状に編んだシールドです。

網目がしっかり組まれているので、曲げたり踏まれたりしても形が崩れにくいです。

足元にケーブルを這わせるライブや、何度も巻いて片付けるスタジオでの使用に向いています。

そのぶん少し硬く、巻き癖がつきやすいところは気をつけてください。

横巻きシールドは柔らかくハンダ付けしやすい

横巻きは、細い銅線を芯線の上から横向きに巻いたシールドです。

編組より柔らかく、シールドをほぐしやすいので、プラグに付け替える作業が楽になります。

自分でケーブルを作る人や、断線したプラグを付け直す人には扱いやすい種類です。

一方で、強く引っぱると巻きがずれて、すき間ができることがあります。

アルミ箔シールドは細かいノイズまで防ぐ

アルミ箔は、薄い箔を芯線に巻きつけて、すき間なく覆うシールドです。

網目がないぶん、より細かいノイズを防ぎたい同軸ケーブルや計装用の配線で使われます。

箔は折り曲げを繰り返すと切れやすいので、楽器用では網のシールドと組み合わせた作りになっていることが多いです。

静電シールドと電磁シールドは防ぐ向きが逆

シールドケーブルには、静電シールドと電磁シールドの2種類があります。

静電シールドは外からのノイズを防ぎ、電磁シールドはケーブルから外へノイズを出さないためのものです。

名前は似ていますが、目的が反対なので、接地のしかたも変わります。

静電シールドは外から入るノイズを防ぐ

静電シールドは、芯線を金属テープや編組で包んだ作りです。

信号線や通信線で広く使われていて、楽器用やマイク用のケーブルもこちらに入ります。

アンプに入る信号はとても小さいので、外から入るノイズを防ぐことが優先されます。

電磁シールドはケーブルから出るノイズを抑える

電磁シールドは、ケーブルに流れる電流が作る磁気を外に漏らさないためのシールドです。

モーターを動かす動力線や、インバーターまわりの配線で使われます。

家で音楽を楽しむ範囲では、自分で選ぶ場面はあまりありません。

接地は静電シールドなら片側だけ

シールドは、アースにつないで初めて役目を果たします。

静電シールドは片側だけ、電磁シールドは両端を接地するのが基本です。

三協インタナショナルやエネ管の記事でも、この使い分けが紹介されています。

片側接地は電流の輪を作らないため

静電シールドの両端を接地すると、シールドとアースの間で電流がぐるりと回る輪ができます。

この輪に流れる電流が、かえってノイズを生む原因になります。

だから外からのノイズを防ぐ静電シールドでは、片側だけをアースにつなぎます。

両端接地は電磁シールドで使う

電磁シールドでは、両端を接地して電流の輪を作り、磁気を打ち消し合わせます。

同じシールド線でも、目的によって正反対のつなぎ方になるところが、いちばん間違えやすい部分です。

接地しないシールドはノイズの元になる

シールドをどこにもつながないと、金属の層に静電気がたまっていきます。

たまった電気が一気に放電すると、パチッというスパイク状のノイズが出ることがあります。

自作のケーブルでシールドをプラグにつなぎ忘れると、この状態になるので気をつけてください。

制御盤や工場の配線は、システム構成や設置の環境によって接地のしかたが変わります。電気工事にあたる作業は、資格を持つ電気工事士に相談してください。

ギターのシールドとスピーカーケーブルは別物

オーディオテクニカ BX3/3.0 マイクケーブル

見た目が似ていても、楽器用のシールドとスピーカーケーブルは中身がまったく違います。

アンプヘッドとスピーカーキャビネットをつなぐときは、ギター用のシールドではなくスピーカーケーブルを使ってください。

楽器用は芯線1本と網線1本

ギターやベースのシールドは、真ん中に芯線が1本、そのまわりにシールドが1層という作りです。

プラグの先端に芯線、根元の筒の部分にシールドがつながっています。

シールドがアースの役目も兼ねているので、ここが切れるとブーンというノイズが出ます。

マイク用のXLRは芯線2本とシールド

マイクケーブルでよく使うXLR端子のケーブルは、芯線が2本とシールドが1層です。

ピンは3本あり、1番がシールド、2番と3番が信号の線になっています。

2本の線で同じ信号を逆向きに送り、途中で乗ったノイズを打ち消すバランス接続という方式です。

長く引き回してもノイズが乗りにくいので、ステージからミキサーまでの長い配線に向いています。

スピーカーケーブルにはシールドが無い

スピーカーケーブルは、太い2本の線を並べただけの作りで、シールドは入っていません。

スピーカーを鳴らすには大きな電流が流れるので、ノイズより線の太さが大事になるからです。

ギター用のシールドは芯線が細いので、アンプとスピーカーの間に使うと、線に負担がかかりアンプの故障につながるおそれがあります。

プラグの形が同じでも、ケーブル本体に「SPEAKER」と書かれているかを見てから使いましょう。

ノイズが出たら長さとプラグから確かめる

FEYCH ギターシールド S-S 3m

ノイズが気になったら、まずケーブルの長さとプラグの接触を確かめてください。

シールド線でも、長くなるほどノイズの影響を受けやすく、音もこもりやすくなります。

確かめる順番は次のとおりです。

  1. ケーブルを短いものに替えて、ノイズが減るかを聞く
  2. プラグを抜き差しして、ガリガリという音が出ないかを聞く
  3. プラグの根元を軽く曲げて、音が途切れないかを確かめる
  4. 電源タップや蛍光灯、スマホからケーブルを離してみる

1から3でノイズが変わるなら、ケーブルの断線やプラグの接触不良が考えられます。

4で変わるなら、ケーブルではなく周りの機器から来るノイズです。

長さは自宅なら3mで十分

楽器用のシールドは、3m、5m、7m、10mといった長さで売られています。

パンドウイットのコラムでは、自宅やスタジオなら3m、ライブや動き回る演奏なら5〜10mが目安とされています。

家で弾くだけなら、長すぎるケーブルは床で絡まるうえにノイズも増えるので、3mで十分です。

海外メーカーの製品は10ftのようにフィートで書かれていることがあり、10ftはおよそ3mです。

プラグの形はS/SとS/LとL/L

プラグの形は、両方まっすぐなS/S、片方がL字のS/L、両方L字のL/Lの3つです。

ギター本体の差し込み口が横向きならS/L、エフェクター同士をつなぐならL/Lが収まりやすいです。

L/Lは値段が高めで、差し込み口の位置によっては入らない楽器もあるので、手持ちの楽器の形を見てから選んでください。

迷ったら、どの楽器にも挿せるS/Sの3mから始めると間違いがありません。

この記事のアドバイザー
電山タケル
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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