アンプからジーというノイズが消えない。
ケーブルを替えようとして「シールド線」という言葉が出てきたものの、何が違うのか分からない人は多いです。
シールド線は、ノイズを防ぐための金属の層が入ったケーブルのことです。
巻き方の種類、接地のしかた、楽器用とスピーカー用の違いを知っておくと、ケーブル選びで迷わなくなります。
シールド線は芯線を金属の網や箔で包んだ電線
シールド線は、電気を通す芯線のまわりを金属の網や箔でぐるりと包んだケーブルです。
この金属の層がシールドで、外から飛んでくる電気のノイズを受け止めて、芯線に届かないようにします。
ノイズも電気の一種なので、電気の流れやすい金属の層を通ってアース側へ逃げていきます。
中の構造は、外側から次の4層になっています。
- シース(いちばん外側のゴムやビニールの被覆)
- シールド(金属の網や箔)
- 絶縁体(芯線とシールドが触れないようにする層)
- 芯線(信号が通る銅線)
ギターやベースをアンプにつなぐケーブルを「シールド」と呼ぶのは、この構造のケーブルだからです。
正式には楽器用ケーブル、ギターケーブルなどと呼ばれますが、楽器店では「シールド」で通じます。
【タイプ別】シールドの巻き方は3種類
シールドの作り方は、大きく分けて編組、横巻き、アルミ箔の3種類です。
踏まれる場所なら編組、自分でハンダ付けするなら横巻き、細かいノイズまで防ぎたいならアルミ箔が向いています。
| 種類 | 作り | よいところ | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| 編組 | 細い銅線を網のように編む | 曲げや踏みつけ、擦れに強い | ライブやスタジオで床を這わせる |
| 横巻き | 細い銅線を横向きに巻きつける | 柔らかくほぐしやすい | 自作や修理でハンダ付けする |
| アルミ箔 | アルミの箔を巻きつける | すき間ができにくい | 同軸ケーブルや計装用の配線 |
編組シールドは踏まれても傷みにくい
編組は、細い銅線を網目状に編んだシールドです。
網目がしっかり組まれているので、曲げたり踏まれたりしても形が崩れにくいです。
足元にケーブルを這わせるライブや、何度も巻いて片付けるスタジオでの使用に向いています。
そのぶん少し硬く、巻き癖がつきやすいところは気をつけてください。
横巻きシールドは柔らかくハンダ付けしやすい
横巻きは、細い銅線を芯線の上から横向きに巻いたシールドです。
編組より柔らかく、シールドをほぐしやすいので、プラグに付け替える作業が楽になります。
自分でケーブルを作る人や、断線したプラグを付け直す人には扱いやすい種類です。
一方で、強く引っぱると巻きがずれて、すき間ができることがあります。
アルミ箔シールドは細かいノイズまで防ぐ
アルミ箔は、薄い箔を芯線に巻きつけて、すき間なく覆うシールドです。
網目がないぶん、より細かいノイズを防ぎたい同軸ケーブルや計装用の配線で使われます。
箔は折り曲げを繰り返すと切れやすいので、楽器用では網のシールドと組み合わせた作りになっていることが多いです。
静電シールドと電磁シールドは防ぐ向きが逆
シールドケーブルには、静電シールドと電磁シールドの2種類があります。
静電シールドは外からのノイズを防ぎ、電磁シールドはケーブルから外へノイズを出さないためのものです。
名前は似ていますが、目的が反対なので、接地のしかたも変わります。
静電シールドは外から入るノイズを防ぐ
静電シールドは、芯線を金属テープや編組で包んだ作りです。
信号線や通信線で広く使われていて、楽器用やマイク用のケーブルもこちらに入ります。
アンプに入る信号はとても小さいので、外から入るノイズを防ぐことが優先されます。
電磁シールドはケーブルから出るノイズを抑える
電磁シールドは、ケーブルに流れる電流が作る磁気を外に漏らさないためのシールドです。
モーターを動かす動力線や、インバーターまわりの配線で使われます。
家で音楽を楽しむ範囲では、自分で選ぶ場面はあまりありません。
接地は静電シールドなら片側だけ
シールドは、アースにつないで初めて役目を果たします。
静電シールドは片側だけ、電磁シールドは両端を接地するのが基本です。
三協インタナショナルやエネ管の記事でも、この使い分けが紹介されています。
片側接地は電流の輪を作らないため
静電シールドの両端を接地すると、シールドとアースの間で電流がぐるりと回る輪ができます。
この輪に流れる電流が、かえってノイズを生む原因になります。
だから外からのノイズを防ぐ静電シールドでは、片側だけをアースにつなぎます。
両端接地は電磁シールドで使う
電磁シールドでは、両端を接地して電流の輪を作り、磁気を打ち消し合わせます。
同じシールド線でも、目的によって正反対のつなぎ方になるところが、いちばん間違えやすい部分です。
接地しないシールドはノイズの元になる
シールドをどこにもつながないと、金属の層に静電気がたまっていきます。
たまった電気が一気に放電すると、パチッというスパイク状のノイズが出ることがあります。
自作のケーブルでシールドをプラグにつなぎ忘れると、この状態になるので気をつけてください。
ギターのシールドとスピーカーケーブルは別物
見た目が似ていても、楽器用のシールドとスピーカーケーブルは中身がまったく違います。
アンプヘッドとスピーカーキャビネットをつなぐときは、ギター用のシールドではなくスピーカーケーブルを使ってください。
楽器用は芯線1本と網線1本
ギターやベースのシールドは、真ん中に芯線が1本、そのまわりにシールドが1層という作りです。
プラグの先端に芯線、根元の筒の部分にシールドがつながっています。
シールドがアースの役目も兼ねているので、ここが切れるとブーンというノイズが出ます。
マイク用のXLRは芯線2本とシールド
マイクケーブルでよく使うXLR端子のケーブルは、芯線が2本とシールドが1層です。
ピンは3本あり、1番がシールド、2番と3番が信号の線になっています。
2本の線で同じ信号を逆向きに送り、途中で乗ったノイズを打ち消すバランス接続という方式です。
長く引き回してもノイズが乗りにくいので、ステージからミキサーまでの長い配線に向いています。
スピーカーケーブルにはシールドが無い
スピーカーケーブルは、太い2本の線を並べただけの作りで、シールドは入っていません。
スピーカーを鳴らすには大きな電流が流れるので、ノイズより線の太さが大事になるからです。
ギター用のシールドは芯線が細いので、アンプとスピーカーの間に使うと、線に負担がかかりアンプの故障につながるおそれがあります。
プラグの形が同じでも、ケーブル本体に「SPEAKER」と書かれているかを見てから使いましょう。
ノイズが出たら長さとプラグから確かめる
ノイズが気になったら、まずケーブルの長さとプラグの接触を確かめてください。
シールド線でも、長くなるほどノイズの影響を受けやすく、音もこもりやすくなります。
確かめる順番は次のとおりです。
- ケーブルを短いものに替えて、ノイズが減るかを聞く
- プラグを抜き差しして、ガリガリという音が出ないかを聞く
- プラグの根元を軽く曲げて、音が途切れないかを確かめる
- 電源タップや蛍光灯、スマホからケーブルを離してみる
1から3でノイズが変わるなら、ケーブルの断線やプラグの接触不良が考えられます。
4で変わるなら、ケーブルではなく周りの機器から来るノイズです。
長さは自宅なら3mで十分
楽器用のシールドは、3m、5m、7m、10mといった長さで売られています。
パンドウイットのコラムでは、自宅やスタジオなら3m、ライブや動き回る演奏なら5〜10mが目安とされています。
家で弾くだけなら、長すぎるケーブルは床で絡まるうえにノイズも増えるので、3mで十分です。
海外メーカーの製品は10ftのようにフィートで書かれていることがあり、10ftはおよそ3mです。
プラグの形はS/SとS/LとL/L
プラグの形は、両方まっすぐなS/S、片方がL字のS/L、両方L字のL/Lの3つです。
ギター本体の差し込み口が横向きならS/L、エフェクター同士をつなぐならL/Lが収まりやすいです。
L/Lは値段が高めで、差し込み口の位置によっては入らない楽器もあるので、手持ちの楽器の形を見てから選んでください。
迷ったら、どの楽器にも挿せるS/Sの3mから始めると間違いがありません。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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